害虫駆除の会社を経営されている、職人かたぎの社長さん。人の嫌がる仕事をすすんで引き受けているのですから、本当にご立派です。
「社員にもっと給料を払ってあげたい。自分の給料は後まわしでもいい。」だなんて……。
とにかく売上をとる?
同業者団体からの依頼は、すべて引き受けています。その場合、売上金の入金は1~2月後。しかし社員さんや外注職人さんには、ほぼ現金払い。いわゆる「とっぱらい」をしてあげています。
ということは売上が増えれば増えるほど、入金と出金のタイムラグ、つまりサイト負けが増えるんです。
それでも、手もち資金があれば吸収できます。先払いできる余裕がある訳ですから。しかしその余裕がなければ、勘定あって銭たらずになってしまいます。
狙いを絞らずに、言われるままに
売上のルートをみると、けっこう多いです。
・自治体の入札
・個人のお宅
・農地・農家
・飲食店街
・ゴルフ場
・遊園地などのアミューズメント
・同業者のフォロー
・その他いろいろ
それはそれで良さそうな話ですけど、会社の規模からみて、ちょっとパワーが分散しすぎでは?
揚田 「売上のルートが多いですが、どんな営業活動をされていらっしゃるのですか?」
社長 「とくに何もしていない。来た話をすべて引き受けている。」
揚田 「ずいぶん遠いところにも行かれていますね。」
社長 「移動時間がかかってしまうと、そこだけで1日つぶれるわ。時間がもったいないとは思うんやけど、」
屏風と零細企業は広げすぎると倒れます。パワーが分散すると、すべてが弱くなります。どうやら、その典型的なパターンのようですね。
零細企業は広げすぎちゃダメ
揚田 「害虫駆除は、人が現地に行くことがすべてですから、エリアもお相手も広げすぎたら、かえってしんどくなりますよ。遠いところへ行けば、それだけで1日つぶれてしまって、たいした儲けにならない。しかも入金は2か月後。売上が増えても資金ショートしかねませんよ。」
社長 「でも、持ってこられた話をことわったら、売上が取れなくなると思ってな。」
揚田 「それなら、地元エリアでしっかり営業宣伝をしてください。そして個人宅や農地・雑木林にもっと営業してください。個人さんなら現金で払ってくれます。ペイペイにも加入しましょう。その方が個人さんも払いやすいですから。専門業者サイトにも登録しましょう。いまどきの個人客さんは、みなさんネットで検索しますから。」
ランチェスター、弱者の戦
社員が数人の零細企業。お客のところまで人間ごと向かうスタイル。これはもうランチェスターの超・接近戦。弱者の戦略そのものです。
エリアを絞って、相手を絞って、そこにエネルギーを集中して営業をする。
つまり、一点集中!
そのエリアとお客さま層においてシェア1位をねらう。現金とっぱらいの個人客さまが増えれば、資金繰りも支えられます。(いまどきの個人客はペイペイも必須)
社長 「わしは職人ひとすじやったから、営業をどうするかなんて分からんかったわ。でも口八丁なことをはできんぞ。」
揚田 「もちろんそれでいいんですよ。何ができるかをしっかり宣伝すればいいんです。地元のライバルさんよりもOOな良い技術がある、害虫駆除の実績がOOある、とかが大事ですから。むしろ口八丁なだけでは、リピーターが増えないお仕事じゃないですか。」
個人のリピートは、とても大事
地元で実績が増えていけば、口コミも広がっていきます。リピーターも増えます。
しかし今のように、広く薄くやっていく方針では口コミも広がりません。個人さんが、わざわざ遠い業者さんを探すとも思えない。
もう少しエリアを絞って、移動コストも減らして、そして個人さんへの営業を強くかけていく。
同業者団体からの依頼は、入金サイトやエリアなどの条件が良くなかったので、今後は無理には引き受けません。角が立たないように、ほどほどに付き合いながらね。